50代女性 海外ひとり旅 冬のヴァケーション ~プーケットの思い出⑩~

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プーケットで過ごす最後の日。今日の夜9時には日本へ帰る飛行機に乗っている。

私はなんだか朝から寂しい思いに包まれていて、ベッドからなかなか起きようとせず、ずっとシーツに包まっていた。そんな私の姿を見て、娘が「Oh…マミー…寂しいねぇ」と言った。私は「あ~帰りたくない、あ~帰りたくない、ず~っと○○ちゃん(娘の名前)と一緒にここにいたい」とまるでだだをこねる子どものようだった。

そんな私をなだめるように、娘が「ブレッキー(オーストラリアでは朝ごはん、breakfastのことをこういう)食べにいこ!」と誘い出す。

ぐずぐずしながらワンピースをひっかけ、とぼとぼとレストランに向かう。また3匹の猫ちゃんたちと出会う。いつものように、おはよ~という感じで私たちのもとにやってきて、身体をすり寄せてくる。ああ、この子達に今度はいつ会えるのだろうか。。そんなことを思うを、また涙がこぼれそうだった。

とはいえ、朝から相変わらず食欲旺盛である。ここでのんびりと飲む食後のカプチーノも今日が最後だ。

朝食後、また猫ちゃんたちと遭遇したため、とことん一緒に遊ぶ。

彼らが私たちと遊ぶのに飽きて、立ち去ってしまったあと、部屋に戻ってパッキングをする。とにかく、帰りたくない、スーツケースを閉じたくない…そんな思いで荷造りをしていたので、何をするにもはかどらず、何をするにもはぁ~…とため息をついていた。

空港に向かうまでの時間、最終日の午後はホテルのプールサイドで過ごすことにした。

水着に着替えたり、サンスクリーンを塗ったり、なんだかんだの準備でチェックアウトの12:00ギリギリまで部屋で過ごしていた。

部屋のドアを開け、後ろを振り返ると、娘も私も部屋に向かって「ありがとう」という言葉がでた。

娘は旅行の最終日、いつもホテルの部屋に向かって「ありがとう、部屋」と言う。私も彼女につられて毎回言っている。確かにそう。旅行の疲れを癒してくれるとても大切な場所なのだから。ほんとうにありがとう。

フロントに向かう。スーツケースを引く音さえも元気がなく聞こえる。

無事、チェックアウトを済まし、荷物をフロントに預けてから、プールサイドで過ごすために必要なビールやジュース、スナックなどを買いに、ホテルの横のコンビニに行く。観光客でいっぱいである。

ああ、私たちは今日帰るのに、あなたたちはまだプーケットにいられるのね。。

買い物をすませ、ホテルに戻るためにマーケットを横切った。

このマーケットの中にあるタピオカミルクティーのお店が前から気になっていた。店の前にローカルの女の子たちがミルクティーをオーダーしていた。彼女たちの好きなフレーバーを聞いたら、やっぱり一番ベーシックなミルクティーが美味しいわよとのことだったので、娘も私もそれをオーダーしてみた。

マーケットの中のプラスチックの椅子に座り、ミルクティーを味わった。もちもちとしたタピオカの食感と甘いミルクティーの味わいが相まって、とてもおいしく感じた。

プールサイドに戻ると、いつものラウンジチェアが空いていた。ビーチタオルを引き、ゴロンと横たわる。

悲しいほど真っ青な空である。木々をそよぐ風の音が聞こえる。青いプールの水が太陽の光を受けてキラキラと輝いている。私の横で、娘は読書をしている。タイガービールのプルトップをぷしゅ~っと開け、のどに流し込む。本のページをめくる。

何かを手に入れたわけではないのに、すべてが満ち足りていて、もう十分だと思える。

最終日も、特別なことは何もしていない。

でも、不思議なくらい満たされていた。私に必要なものは、もう全部ここにあった。

だからこそ、帰りたくなかった。
スーツケースを閉める手が、どこか名残惜しくて。

「また来ようね」そう言って笑う娘に、今度は私が慰められる番だった。

今回の旅は、生まれて初めて年末年始を一人で過ごし、元旦に娘と再会するという、ひとりの自分としての心の充足と、母としての幸福、この両方が満たされた特別な時間となった。

きっとまた、ここに帰ってくる。
この青い空に、もう一度会いに。

またね、プーケット。

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