100分de名著 有吉佐和子「恍惚の人」

昨夜、前日に録画しておいた、Eテレの100分de名著を観た。(疲れ過ぎて、放映の時間まで起きていられなかったのである。。)

有吉佐和子の「恍惚の人」を取り上げての第二回目である。

この作品を読んだのは、まだ私の母は元気で一人暮らしができていたころなので、15年ほど前だろうか。その母は今、介護施設で暮らしている。

介護問題を取り上げた本という知識しかなく、有吉佐和子の作品だから面白いに違いないと思い手に取ったが、記憶しているのは、とにかく面白くて引き込まれるようにして一気に読んでしまったということだ。

「恍惚の人」は、認知症の進行していく老人とそれに伴う人間関係の変化をテーマにした社会派小説である。主人公の昭子は、認知症の症状が現れ始めた舅・茂造と一緒に生活をするうちに、茂造の介護に追われるようになる。

物語は非常にリアルで感情的なものであり、認知症や老いに対する深い洞察とともに、人間関係の複雑さとその中での愛のかたちを丁寧に描き出している。この本を読んで、人間の尊厳や生きる力について改めて考えさせられた。

昭和40年代が舞台なのだが、そもそもこの時代は認知症という言葉が存在していない。約半世紀が経った現在でも、問題の本質に対してそれほど進展がないことにやるせない思いが湧き上がってくる。

兎にも角にも有吉佐和子の筆致が素晴らしい傑作であることには間違いない。

再読しようと心に決めた。年末年始休暇にゆっくりと読もう。楽しみが増えた。

Have a good night!

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