娘が帰郷していた1月、キャンドルの灯りに包まれたコンサートに娘と一緒に行ってきた。
キャンドルライトコンサートは、スペイン発のイベントプラットフォーム、Feverが世界各地で開催している音楽イベントだ。
会場には無数のキャンドルが灯され、幻想的な空間の中でクラシックや映画音楽、ポップスなどを弦楽四重奏などの生演奏で楽しむことができる。歴史的建造物や教会、美術館など特別な会場で開催されることも多く、音楽と光が織りなす特別な時間を体験できるコンサートとして人気を集めている。
その日演奏されたのは、弦楽カルテットによるスタジオジブリの音楽。
会場は名古屋能楽堂。
能楽堂という幻想的な雰囲気に包まれ、やわらかなキャンドルの光の中で聴く旋律は、まるで記憶の奥にそっと触れてくるようだった。
特に心に残ったのは、トトロの音楽が流れた時。
隣に座っていた娘が、そっと言った。
「なんだか…泣けてくる」
娘は小さい頃からトトロが大好きだった。
3歳くらいの頃、彼女が初めてトトロのDVDを見たときのことを、私は今でもよく覚えている。
物語が終わりに近づき、エンディングが見えてきたとき、娘は突然はらはらと泣き出した。
「いやだ~トトロ、行かないで~もっと一緒にいて~…」
小さな娘は、物語が終わってしまうことが悲しかったのである。その姿を見ながら、私は思った。
この子はなんて豊かで、やさしい心を持っているのだろう。
物語の終わりを悲しめるほど、世界をまっすぐに受け取る感受性を持っているのだ、と。
キャンドルの光の中で流れるトトロの旋律を聴きながら、私はあの日の小さな娘の姿を思い出していた。
キャンドルの光の中で聴いた音楽は、その記憶を連れてきた。
私に、小さかった頃の娘との時間をそっと思い出させてくれた、特別な夜だった。


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