50代の心に響く一冊|テヘランでロリータを読む

読書

先週、いつも行く本屋にふらっと立ち寄ったら、この文庫に出会った。

解説を読むと、イスラーム革命後のイラン・テヘランでヴェールの着用を拒否したために大学を追われた著者は、限られた女子学生たちと秘密の読書会を開く…と書いてあった。

これはイラン出身の作家・教授である Azar Nafisi が書いた回想録で、2003年に出版され、世界的ベストセラーになった。

ページをめくりながら、これは単なる「イラン情勢」の本ではないのだと、すぐにわかった。

それとともに、サンフランシスコに住んでいたころのお隣さんだった、イラン人女性のことを思い出した。

彼女は自宅のガレージを改装し、託児所を開いていた。私はそのころ、小さかった娘を彼女に預けて仕事に行っていた。

ときおり、彼女のお宅で開かれるパーティでは、お手製のさまざまな美味しいペルシャ料理が食卓を彩った。

ハーブやスパイスをたっぷりと使う彼女の料理は、香りを嗅ぐだけで口の中が潤い始めた。

彼女の笑顔は温かく、部屋にはいつも明るい日差しが差し込んでいた。

彼女がイランで過ごした時期とこの本の舞台は重なる。

息苦しさの中で、それでも人は本を読む。
自由が制限される世界の中で、想像力だけは誰にも奪えない。人はどんな状況でも想像力や美しいものを追い求める。

そんな空気が、静かに流れている。

イスラム革命後のテヘラン。
女性たちはヴェールを義務づけられ、大学では文学ですら「正しい思想」であることを求められる。

そんな中、著者のアーザル・ナフィシは、自宅に女子学生たちを招いて秘密の読書会を開く。

彼女たちは部屋に入るとヴェールを外し、恋愛を語り、本について語り、自分自身について語る。

その描写がとても美しい。

外の世界では「こうあるべき女性像」を押しつけられているのに、文学を読む時間だけは、自分の人生を取り戻せる。

まだ読み始めたばかりなのに、すでに何度も立ち止まってしまった。

20代の頃、サンフランシスコの本屋を覗くのが好きだった。本屋とは思えないほど、美しい建築を施した本屋が何軒もあった。

まだスマホもない時代。
小さなブックストアやカフェには、いろんな国の人がいて、みんな自由に考え、自由に話していた。

この本を読んでいると、閉ざされたテヘランの空気とは真逆だった、あの頃のサンフランシスコを思い出す。

サンフランシスコの自由な空気の中には、さまざまな文化、思想が溶け込んでいた。

「自由に本を読める」ということが、どれほど贅沢で幸せなことなのかを考えさせられる。

本が好きで、海外文化に興味があり、息苦しさに敏感な人には刺さる本であろう。ーーまさに私のような人間のための本だ。

読み終える頃、自分の中に何が残るのか。
今からとても楽しみだ。

あのイラン人女性は、いまでも元気に過ごしているだろうか…。

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